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【技術書典5 編集・マージ編】情熱と執念で創り上げる!執筆よりも大変だった編集作業

セイチョウ・ジャーニーができるまでシリーズ第3弾です。

最も大変なフェーズ

個人的には、技術書執筆のうちが最も辛かったフェーズであり、ここを乗り切るだけの情熱と執念と精神力が同人誌では試されると思いました。

参加のハードルが下がっていてとても素晴らしいことなのですが、これから参加する人はぜひ知っていてほしいです。

結局のところ、同人誌は執筆〜入稿フェーズが一番つらいです。

いやまじで。

実際のスケジュール

カレンダーとコミット歴に残っていた内容に基づき、表にしてみました。
以下は予定ではなく、実際にやった日付です。

表にするとそこまで多くないように見えますが、実際はつまづきポイントも相当数あったりしてかなり時間を使っていました。

Re:VIEW変換やマージ作業、全パート修正系は基本徹夜パレードです。

日にち やったこと
~8/31(水) サークルカット締め切り(技術季報の分)
9/1(土) メンバー初稿
9/2(日) 初稿レビュー
~9/8(土) レビュー指摘部分修正
9/8(土) 原稿Re:VIEW変換完了
9/10(月) (技術書典5一般参加者向け正式サイト公開日)
9/10(月) あとがきなどを追加
9/10(月) 全パートマージ
9/12(水) 全ページ印刷校正
9/15(土) 全パート指摘分修正
9/15(土) A2ポスター作成
9/15(土) ノンブル設定
9/16(日) 入稿前データ修正
9/16(日) 入稿

作業

合同著書における作業の流れ

セイチョウ・ジャーニーは5名のサークルメンバーがそれぞれのパートを執筆することにしました。

そのため、以下の流れで作業をしました。*1

  • サークルカット&表紙をRyoが制作。メンバーレビューと修正を入れ、サークル情報公開
  • 個人パートをそれぞれ執筆
  • あとがき・著者紹介はそれぞれ執筆
  • 謝辞は任意で執筆
  • プロローグ、みんなのセイチョウ・ジャーニーはてぃーびーさんが執筆
  • 初稿をみんなでレビュー(この時点でMarkdown状態)
  • レビューを修正後、Re:VIEW形式に変換
  • BitbucketにPushし、Ryoが確認してマージ

という感じでした。はじめての執筆だったので、手探りで進めました。
てぃーびーさんが課題管理などをしてくれたおかげで、ToDo系は非常にスムーズだったと思います。

tbpgr.hatenablog.com

他の合同著書の編集長にも知見を聞いてみたいところですね。

サークルカット制作

サークルカットは、一般参加者向け正式サイトと技術季報で使われます。

ちなみに一般参加者向け正式サイトはWeb版のため、サークルカットの提出締め切りはありませんが、この段階でサークルカットがあるサークルは非常に目立ちます。

これは頒布される技術書のファーストインプレッションとなり、売上に直結します。
そのため、なんとしても技術季報の提出締め切り+一般参加者向け正式サイト公開日に間に合わせる必要があります。

頑張って公開時までに制作してアップロードしましょう!

f:id:vtryo:20181116111304p:plain:w320 techbookfest.org

Re:VIEW変換

初稿を終え、レビュー修正も終えたらいよいよRe:VIEW形式に変換していきます。

Re:VIEWの使い方も含め、すべての技術書同人誌の作り方はoyakataの本を買ってください。ここにすべて書いてあります。すべてです。

booth.pm

しかしこのRe:VIEW変換、かなり鬼門でした。僕はVScodeを使ってMarkdownだった原稿を変換していったのですが、中々意図した通りに表現できなかったりします。

本文中に画像を差し込む人は画像解像度を高画質にするなどの作業も必要です。*2

僕のパートは分量も差し込む画像の数も多く、結果的にかなり時間を使いました。*3

徹夜作業となったので、次回機会があるなら最初からRe:VIEWで書きたいと思います。

画像を高画質に変換する

さきほど話した、画像の解像度を上げる話です。これがめちゃくちゃ地味だし大変でした。

Macを使っている人はターミナル上でコマンドを実行するとdpiを変換できます。
ただ変換すると、サイズが小さくなったりして今度は原稿に合わないサイズになります。これをさらにサイズ変換するなど必要でめっちゃ大変です。

このやり方もoyakataの本に書いてありますが、もっとよりよい方法を考えたいところですね。

booth.pm

コンフリクト問題

自分のパートや他の人のパートは、Masterではなく別名ブランチを切ってPushするようにしていました。

特別ルールを設ける気はなかったのですが、これが不幸を呼びます。

Re:VIEWのDockerはコマンドを実行すると自動でPDFまで生成してくれます。全部Pushして、それらをマージしようとしたときにコンフリクトが発生します。

修正を朝方4時に全部やるのはつらすぎたので、結局変更箇所をコピってMasterに打ち込むというわけわからん方法で進めました。
優秀なエンジニアの皆さん、いい方法を教えてください。

マージ

個人パート、共通パートなどをすべてマージ

  • プロローグ
  • 個人パート
  • みんなのセイチョウジャーニー
  • あとがき
  • 謝辞
  • 著者紹介

をマージしました。これで原稿本体の出来上がりです。

表紙と本編のマージ

MasterのPDFが出来上がったあとは、表紙と本編をくっつけます。

本編はPDFとして存在しているので、表紙をPDFに変換します。
原稿はA5サイズで作ったので、表紙もA5で書き出します。

その後、iLovePDFのサイトで表紙と本編のPDFを結合します。

www.ilovepdf.com

このサイトはこのあとも非常にお世話になります(PDF分割で無料サンプル作ったり)。

これで本っぽくなりました。

全ページ印刷確認

全ページを印刷して確認する項目は以下です。

  • 表紙の色が意図したものになっているか
  • 本文の誤字脱字、レイアウトの確認

表紙の色とは、印刷したときに色が意図したものになるかの確認です。というのも、データ上で見ている色(RGB形式)とプリンターで印刷したときの色(CMYK形式)は変わります。

デジタルカメラなどで撮影された画像、あるいはパソコンのディスプレイ上に表現される色はライトの発光を利用して色を表現(加法混合)するRGB形式であるが、印刷物ではインク(色素)による光の吸収を利用して色を表現している(減法混合)。このように、画面と紙とでは発色の原理が全く異なる為、RGB形式の画像を印刷する場合はRGB形式からCMYK形式への変換作業が必要となる。 CMYK - Wikipedia

これを踏まえて、色を微調整したりします。


表紙含めて出来上がったら、全ページを印刷して物理的に校正していきます。
紙に赤ペン入れながら読んでいくと、あらぬ誤字脱字に気づいたりレイアウトが死んでいる部分にも気づけます。

なので、絶対にやりましょう。これでかなり修正ができます。

僕は自宅にあるプリンターで印刷しました。プリンターが高価である必要はなく、家庭用のプリンターで印刷してました。

修正と印刷を何度か繰り返し、最後まで原稿を綺麗にしていきます。

PDFへのノンブル付け

印刷所は日光企画さんを選択しました。日光企画さんではPDFにノンブルと言われるページ番号とは別の、印刷所が識別するための番号を入れる必要があります。

ノンブルを入れるのも、さきほどのiLovePDFです。

www.ilovepdf.com

付け方も、oyakataが書いた本を参照してください。いやほんとまじで神本ですあれ。

booth.pm

ポスター作成

日光企画さんでは技術書典専用のセットがあります。早割セットというのを使うと、なんとA2ポスターをサービスで付けてくれます。

ということで、表紙をすこし変えたポスターを制作しました。

表紙がベースなのでさほど大変ではなく、だいたい1時間くらいだった気がします。

気をつけた点は、ポスター上部はサークル名と場所を書くことです。

意外と「ここであってるのかな?」となるので、場所とサークル名と技術書のタイトルが紐付いている情報が目立っていると助かると思います。

最後に、Keynoteから書き出すPDFのサイズは忘れずにA2を指定します。

出来上がったポスター↓ f:id:vtryo:20181014023039j:plain:w320

入稿のための最終チェック

今回作成したPDFは、あくまで印刷用のデータです。なので、以下の点を注意します。

  • 印刷して表紙の色を確認する
  • 印刷用の表紙データが塗り足しまで考慮されているか
  • 画像は高解像(350dpi)
  • 印刷してレイアウトを確認する
  • ノンブルが入っているか
  • 書き出した本のデータが意図したサイズ(今回はA5)になっているか(ここをミスってて入稿で大変なことになった)*4

もろもろチェックして、入稿します!

おわりに

この期間はほぼ寝られない日々が続く上、無限に修正点があるような気がしてかなりしんどかったです。

かといって、「絶対に妥協したくはない」という執念で進めました。

Twitterタイムラインを見ていると同じような人がいたので、それはそれで楽しかったですがw

技術書典に限らず、創作活動をするすべての人をリスペクトするきっかけになりました。

次回参加したいみなさん。次回も参加するみなさん、がんばりましょう!

関連リンク

  • 神本オブ・ザ・イヤー

booth.pm

  • セイチョウ・ジャーニー

growthfaction.booth.pm

*1:本記事ではVTRyoの作業に焦点を当てています。他メンバーの作業はご本人のブログなどを参照くださいませ

*2:oyakataの本に方法は書いてあります

*3:エディタやDockerに慣れていないHideさんの原稿もRyoが変換担当した

*4:ぜひ入稿編を参照してほしい