セイチョウ・ジャーニーができるまでシリーズのおまけ、被チェック数と印刷冊数の話です。
印刷冊数はどう判断するのか
同人誌の難しさに、販売数が読みづらいというのがあるんでしょうか。
少なくとも技術書典で初めて同人活動する僕にとっては相場もわからず、何冊刷っていいのかわかりませんでした。
過去実績から推察? vs 過去最大規模なので参考にならない?
過去実績はどうやって算出するのか、というと技術書典では「被チェック数」という指標があります。
一般参加のひとたちが予め行こうと思っているサークルをチェックすることができます。サークル参加者はそれを見て、何冊刷るのか検討できるというものです。
「本番n日前でこの被チェック数ならこれくらい刷っても売れるよ!」というのを、僕らは信じて印刷するしかありません。
しかし!!
技術書典は開催するたびに来場者数は右肩あがり。
これまでの被チェック数の伸び方は参考にならないかもしれません。
印刷冊数が少なすぎると来場してもらった人みんなに行き届かないし、多すぎると在庫を抱えることになりかねない(いわゆる爆死と呼ばれる状態)。
この判断はサークル主に一存されているので、ある意味楽しい時間。ある意味苦しい時間です。
なお、考え方は以下の記事が詳しいです。
そして、我々は前回実績の伸び方と今回も参加する方のツイートなどを参考にしつつ、印刷冊数を検討しました。
結局どう判断することにしたか
過去実績の伸びを信じつつ、以下のポイントを押さえます。
- 発注コスト < 売上金額になるラインを探す
- 被チェック数を推測しながら在庫を抱えないラインを探す
現実問題、印刷するための発注コストは決して安くないです。
そのため、「被チェック数=確実に買ってくれる(と信じる)数」
として計算して、発注コストを下回らない数を見つつ、なるべく来場者に行き渡る数を印刷することにしました。
被チェック数
検討に使ったGrowthfactionの被チェック数をご紹介します。
2018-09-10 一般参加者向けページ公開直後
最初の段階でチェック数が5になりました。ココらへんはまだ様子がわからず傍観です。
2018-9-11 夜
翌日の夜です。書いてある通り、100部印刷しても爆死しない数のチェックが付きました。
ただ、この数が他と比べてどうなのかわからなかったので質問もしていました。
初参加なので、この数が多いのか少ないのか(今後伸びるのか)がわからない(汗)
— VTRyo (@3s_hv) 2018年9月11日
常連のみなさま、よかったら教えてください
#被チェック数 #技術書典 pic.twitter.com/JqdRsDDYho
この投稿にぶら下がっているリプ欄はとてもいいことが書いてあるのでぜひ読んでみてください。
たくさんの「妖怪倍プッシュ」が枕元に立っていることかと思いますが…
— おやかた@二日目(日)ト26a (@oyakata2438) 2018年9月11日
初動としてはかなり多いほうだと思います。
300-400を検討開始(下限)ラインとして、あとどれだけ告知・宣伝で伸びるかー、というところな、勝手な印象ですー
https://t.co/N8i1NmcoFw
— おやかた@二日目(日)ト26a (@oyakata2438) 2018年9月11日
前回データ(しかもほかの人のツイートを勝手に引用ですが…)
こんな感じで、後半確実に伸びるので・・・
今回は、初動で急激に伸びる形になるかもしれませんが、
ぎりぎり(=みんなが入稿して頒布物登録が一通り終わったくらいで)伸びるのは確実と思いますー
僕なら400から検討開始
— 二度とカフェイン錠剤を摂取しないと誓ったTS系JS (@erukiti) 2018年9月11日
100部はコスパ悪すぎるので、最低でも200からですが現時点でその数だと200は楽勝で出るはずです。
オススメはオンデマンド200か、オフセット300か400あたりですかね。
もちろん、今後の宣伝とか準備次第ですが pic.twitter.com/G1Q8bifUTy
このグラフなどを見て、色々と想像を膨らませながら数を検討していくことになりそうです。
2018-9-12 夜
さきほどのnoteに記載されていた指標のひとつに、
雑に言っちゃうと9/12午前の時点で20以上のサークルは印刷部数200を検討しても良いでしょう。
とあります。この段階で42ついていたので、200冊の印刷を検討してもいいということになります。
しかしながら「よしじゃあ200以上刷ります!」とは言えないのが初参加の心理です。
そもそも、この日にちこの段階で、42という数が当日200を超えるなんて想像できないです。まだこの時点では入稿まで時間があったので、まだ検討をしていました。
2018-9-13 入稿手前の被チェック数
入稿が16日だったので、入稿前に撮った最後のスクショです。
この段階で43。
結局、サークル内で話合った結果として200冊刷ることにしました。
- 1人あたりが出せる発注コストの上限*1
- チェック数の伸びを信じる
被チェック数の伸び予測では、400冊も検討に入る数でした。
けれども400冊刷るとお金は結構掛かりますし、そもそも本当に売れるのか不安になるなどメンバー全員の心理状態もあり「200にしましょう」という結論に至ったとも思います。*2
そういった難しい部分の決断をして、同人誌は印刷をするんだなと勉強になりました。
2018-9-27 被チェック数100超え
日付は飛んで100を超えた日です。思ったより後半は伸びるようです。
このあたりから、常連の皆さんが言っていた意味が徐々にわかってきます。だから言っただろ?伸びるって。と言われている気持ちになれます。
2018-10-07 前日と当日で大きく伸びる!
これが前日の被チェック数です。
2018-10-08 当日最後のバースト!
毎日観測していた結果
上記で書いた以外でも、なるべく毎日観測してました。その結果がこちらです。
予測された通りかはわかりませんが、前日と当日は垂直に近い上がり方をしました。
これにはさすがにびっくりです。
この曲線、特別僕らだけがそうであったわけではなく他のサークルさんも前日はぐぐっと伸びていたのをTwitterで目の当たりにしました。
実績値というのは侮れません。
判断は正しかったか?
冊子版200冊、ダウンロードカード600部を当日持ち込みました。
ただ、冊子版は1時間で完売してしまったため多くの人に届けるラインとしては足りなかったので反省対象です。
とはいえ印刷費そのものが出せなかったので、全体としてのバランスとしてはベストだったのでしょう。
次回以降の機会があれば、もっと攻めてみたいですね。
おわりに
最近では、在庫を抱えて爆死しないような工夫がたくさんされています。
例えば
- Boothにて倉庫販売
- とらのあな 技術書コーナー
- 技術同人誌再販Night
techbook-and-ethanol.connpass.com
と知っているだけでも3つあるので、在庫は気にせず攻めるという選択肢はありですね!
というわけで、おまけ回でした。
それでは〜。
関連リンク
セイチョウ・ジャーニー PDF版 growthfaction.booth.pm
セイチョウジャーニーができるまで目次