Obisidianというメモアプリがある。最近バージョンがv1に到達したのでホットだ。
各所で、良い評価の記事が飛びかっているのをよく見る。
しかもObisidianでCanvasがあり、図が描けるようにもなった。実にいいアップデートだ。
Obsidianさえあれば自分用のMiroもメモアプリも不要になってきたね https://t.co/UobNL5RRao
— VTRyo (@3s_hv) 2022年12月23日
例によって新しもの好きの僕も早期から使っていたわけだが、いつの間にか大したことないローカルメモアプリに成り下がっていた。
こいつは使い方を間違えるとローカルメインの、全然便利じゃないただのメモアプリになる。*1
Obisidianは第二の脳というコンセプトがあるのに、それをフルに使えていない。どうしてそうなるのかあまり考えていなかった。
A second brain, for you, forever. https://obsidian.md/
ここからは個人的な感想だが、あなたが僕と同じようにObisidianをうまく使えていない(他の情報共有ツールと大差ない状況)ならば、この先も読んでみてほしい。
Obisidianを続けるか止めるか考えるのはそれからでも遅くない。
- 対象読者
- これまでうまく行かなかった使い方
- シンプルな方法を使って得た効能
- obsidianがただのローカルメモアプリになりがちな理由
- 【シンプルな方法】メモの見出しと異なる情報は書き込まない
- まとめ
対象読者
- Obisidianをある程度使ってきたけど他の情報共有ツールと大差ない感じになっている人
- Notionとかでよくね?みたいな
- DailyやZettelkastenの設定をしていたけどうまく使えていない感じする人
これまでうまく行かなかった使い方
DailyテンプレートとZettelkastenテンプレートを、それぞれ以下のように用意していた。
その日のできごとをテンプレートに記載された項目があれば書き、なければ何も書いてなかった。 これ以外になにかアイデアがあれば、Zettelkastenテンプレートを使ってメモを作成してDailyにリンクさせていた。
テンプレートに書いてある見出しについて書く、という以外はルールは設けていなかった。
正直、これだけなら他のメモツールと大差がない。何が第二の脳だ?という気持ちになる。
- Daily
--- tags: {{date:YYYY/MM/DD}} --- # 作業 # 予定 - [ ] aaa - [ ] bbb ## おもったこと ### あとでよさそう(書き出しておくだけ) ### Tmp
- Zettelkasten
--- ID: {{date:YYYY_MMDD_HHmm}} date: {{date:YYYY_MM_DD HH:mm}} tags: {{date:YYYY/MM/DD}} ---
- 実際の例
単に予定が書かれているだけ。
Zettelkastenディレクトリ内。タイトルで中身は何となく分かる
シンプルな方法を使って得た効能
- メモが整理されたおかげでブログが捗りだした(読み返したときに再整理する時間が減った)
- 雑にメモを取りやすくなった(雑にやっても整理されやすくなったため)
- 結果、アイデアが喪失しにくくなって創造性が向上(しそう)
obsidianがただのローカルメモアプリになりがちな理由
まず先にObisidianの特徴はこうだ。
- Second brain(第二の脳)
- 思考はあらゆる情報をリンクさせて実現している。Obisidianもメモをリンクでつなぐことで第二の脳として再現しようしている
そもそも他のドキュメントツールとは、コンセプトが決定的に違うことを忘れていた。
「Obisidianはリンクしてなんぼ」であることを念頭においてふりかえる。
自分がやってしまっていたアンチパターン(個人の感想)と、それに対する考察を雑に羅列してみた。
- そもそもメモとメモをリンクする癖がない
- メモとメモをリンクするのイメージが湧いてないのでは
- さっきと考えてたことと違うしな、とか思ってメモしてないことが多い
- 頭に思い浮かんだことなんて文脈無関係なことの方が多いのに
- 使い方の根幹をあんまり把握してない。ただのメモと違うのは、こいつはリンクすることに意味があるということ。Wikipediaをイメージする必要がある
- これがわかると、いかにシンプルなリンクを作成するかが大事だとわかる。そのページは独立したメモである必要性に気づく
- そもそも短いメモを1ページとして使うことに抵抗がある
- あれやこれやとアイデアをいれがち。そして複雑化する
- ページにタイトルを入れてしまう(やってた)
- してもいいけどそのメモにもリンク元があるはずで、雑に中身を変更しづらくなる気がする。idが吉っぽい
- メモが箇条書きになりがち
- リストではなくて、文章の一部として取り扱うようにすると捗る。やはりWikipediaのイメージを持つと良いかも
コンセプトと、Obisidianが標準で扱っているZettelkastenという情報メモ術がポイントだった。
Zettelkastenという知らない横文字が出てくると段々しんどくなるので、シンプルに言い換えていく。
ただのローカルメモアプリから卒業するために大事なことは、次のようなことではないか。
- Wikipediaみたいなページ作りをする
- 1メモ内で扱う情報は見出しのことだけ
- 書き残す内容が突飛でも気にしない
【シンプルな方法】メモの見出しと異なる情報は書き込まない
僕のObisidianに付与したルールはこれだけだ。
見出しと異なる情報は書かないこと。実にシンプルである。
Dailyテンプレートからできあがった「2022_1225」というメモであれば、その日の事以外は書かない。明日のことや昨日の出来事は、その日時に書くべきだ。
Zettelkastenテンプレートからできあがった何らかのメモは、おそらく書こうと思ったタイトルがあるはずだ。そのタイトルのこと以外は書かない。
とはいえ、シンプルなルールを守るために意識してみてよかったことがあるのでそれを書いていこう。
【具体的なやりかた】Wikipediaみたいなページ作りをする
この意識は、Obisidianの使い方を大きく変えた。
WikipediaでもPixiv百科事典でもそうだが、文章内にリンクが無数にある。
大きな見出しがあったとして、その中で出てきた情報は別のリンクに飛ばされる。
画像を例にすれば、今日の一枚というページの中で「鏡山」という概念があるが、それは別の話なので鏡山ページにリンクしている。
この構成を意識して自分のObisidianでもメモをとることで、僕のObisidianは劇的に変わった。
意識したメモ
Dailyメモには、その日考えていたことを記載できる(といったルールは自分で決めておく)。
考えていたことを適当に箇条書きにしてあるのだが、その詳細をここには書かないことがポイントだ。
見て分かる通り、違うメモへのリンクを張っている。
リンク先をクリックしていくことで、様々な情報へとジャンプしまくる。
この意識をすることでページそれぞれがシンプルになり、結果的に脳がスッキリ整理される。
まずはWikipediaのようなページ構成を意識して、考え事を文字起こしした文章の中にリンクを貼るような気持ちで作ってみてほしい。
このやり方をしたところ、とりあえずブログは格段に書きやすくなった。
【具体的なやりかた】1メモ内で扱う情報は見出しのことだけ
さて、さきほどのWikipediaのようなページ構成を取ることを意識すると、1つのメモで扱う情報は1つにしたほうが良くなることに気づく。
どんなに短い情報でも、別にしたほうがいいとはっきり言える。
例えばDailyメモにつらつらと書き連ねてしまうと、あとから読み返したときノイズになる。
乙骨憂太のメモであれば、乙骨憂太に関すること以外は書いてはいけない。
そりゃそうだろと思うのだが、以外とやってしまう。僕のZettelkastenメモではその傾向がよくあった。
例えば乙骨憂太には特級呪術師という役割があるわけだが、ここで「特級呪術師とは」と補足見出しを書いてしまう……というやつだ。
特級呪術師について書くなら、それ専用のメモをつくってそこでそれについて書き、乙骨憂太にリンクを貼る。
こうすることで、1メモ内で扱う情報はあくまで乙骨優太に関することしかなくなり整理される。
またメモを分離することで、例えば特級呪術師についてだけ知りたい場合が発生してもメモを探しやすくなるメリットもある。
意識したメモ
もうちょい綺麗にするなら、「float64の最大値」メモには「最大値だけ」を記述して、そのリンク先に最大値の求め方を出すべきだろう。
僕はITエンジニアという職業柄、調べ物の先にはさらに調べ物が存在する事が多いので無限に情報が溢れがちだ。 その観点でも情報はしっかりリンクさせて行ったほうが吉だった。
【具体的なやりかた】書き残す内容が突飛でも気にしない
僕の最初のDailyメモテンプレートは、非常に悪い効能を果たしていたと反省している。
僕らは1日に6万回も思考しているらしい。そしてすべての物事が関連しているとは限らないし、さっきまで仕事していても突然夕飯のことを考えることだってある。
だとすると、最初に作っていたDailyメモテンプレートは最悪だ。「思ったこと」「タスク」なんて書いてあったら創造性もへったくれもない。もっと自由に書けるように、テンプレートにはメタデータ以外書いておくべきではなかった。
Obisidianに書き残す内容は何だっていい。Zettelkastenメモがそれぞれ単一の情報しか持たないようにしておけば、どれだけ突飛な文脈でも意味不明にならない。
「ああこの日、こんな事を考えたんだなあ」と思うだけだろう。
意識したテンプレート
- Dailyテンプレート
--- date: <% tp.file.creation_date() %> tags: {{date:YYYY/MM/DD(ddd)}} modification date: <% tp.file.last_modified_date("YYYY MM DD HH:mm:ss") %> --- << [[<% tp.date.now("YYYY_MMDD", -1) %>]] | [[<% tp.date.now("YYYY_MMDD", 1) %>]] >>
- Zettelkastenテンプレート
--- ID: {{date:YYYYMMDDHHmm}} date: <% tp.file.creation_date() %> modification date: <% tp.file.last_modified_date("dddd Do MMMM YYYY HH:mm:ss") %> alias: [] tags: {{date:YYYY}}, {{date:MM}}, {{date:DD(ddd)}} ---
<% %>
の記述はTemplaterというコミュニティプラグイン。
まとめ
見出しの事以外は書かない、とするだけでただのローカルメモアプリを脱出できるのだろうか? と疑問が残る人もいると思う。
そのような人は、Obisidianに何を期待するかObisidianで整理してみると良いかもしれない。
僕はObisidianに「湧いては消えるこの無数のアイデアを貯蔵してほしい。そして来たるべきときに吐き出せるようになりたい」と期待した。
これまでZettelkastenメモにアイデアをまとめて書いたりしたが、情報が複雑化した結果、見出しが求めているものと違うと思って閉じたりすることが多かった。要するにせっかくメモしても、目が滑って頭に入ってこない。それが見出しの情報だけに留まることで最小の情報が入ってくる。
実にシンプルだ。
またObisidianは保管庫という概念があり、僕はPrivate用と仕事用でかんたんに分けられる。分けるかどうかの判断は、ユーザによって異なるだろう。
そんなわけで、ただのローカルメモアプリから卒業できそうなのでこれからも第二の脳としてバシバシ働いてもらおう。
*1:今はデバイス間で同期することはできるが、かつてはローカルインストール型として強みがあった