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たったひとりから始める自発的自社発信、Employee Advocacyの伝播

このツイートの流れが…

↓このブログに昇華されるのを見て、これが発信の良サイクルか…と思いつつ

tbpgr.hatenablog.com

てぃーびーさんのこのつぶやきに「なるほど実は面白いことをやってたのか」と自覚し…

やってきたことを振り返ることにしました。

Employee Advocacyとは

完全に無自覚でやってきたので、僕もこの概念について調べてみました。

Employee AdvocacyをうっかりGoogle翻訳すると従業員擁護という訳され方になってしまうので、なるべく翻訳しないで意味を考えていきます。
この場合、Employee AdvocacyのAdvocacyは「Advocate(提唱/主唱者)」の意味から考えたほうがしっくり来ます。

Advocateの例はこちらですね。

next.rikunabi.com

「従業員提唱者」→「従業員による提唱」→「従業員が(自社について)提唱」→「従業員が自発的に自社について発信する」という意味になってきそうです。

ひとりで考えていてもわからないのでこの話をしているページを探しましょう。

 

Employee Advocacy

という単語でシンプルに検索して最もわかりやすそうなページがこちら。

getbambu.com

f:id:vtryo:20191231160153p:plain
「So What Is Employee Advocacy?」 > https://getbambu.com/blog/what-is-employee-advocacy/

図には、

  • GENERATES BRAND EXPOSE(ブランド公開)
  • RECOMMENDS PRODUCTS & SERVICE(製品とサービスの推奨)
  • EMBODIES COMPANY'S BEST INTERESTS(企業の最大利益を体現)

とあり、その中央に EMPLOYEE ADVOCACY(従業員による提唱)とあります。

さらに詳しく、このようにも。

At its core, employee advocacy is the promotion of an organization by its staff members. An employee advocate is someone who:

・Generates positive exposure and raises awareness for a brand through digital media or offline channels
・Recommends a company’s products or services to a friend or family member
・Represents the best interests of the company both internally and externally
・Can help build employee ownership of the organization
・Is an expert on your product or service and can be a credible spokesperson for your company

Employee Advocacyをかんたんに意訳すると、従業員自ら自社のファンとなって社内外に発信し、利益を最大化していける人ということではないでしょうか。

その方法は、SNSが普及したことでより大きく効果が出るようになったはずです。社員ひとりひとりが外部へアウトプットしやすくなったからです。
自社に関する発信は何もブログだけにとどまらないはずです。例えば、インスタやTwitterに会社のロゴが入ったTシャツを着ている姿を載せるだけでも認知度向上に繋がります。

 

反対に、このEmployee Advocacyに失敗してしまう理由もこのページには書かれています。

Reason 1: Lack of Employee Engagement
Reason 2: Poor Internal Communication

従業員がそもそも組織やプロダクトに積極的に関わっていないと、この活動は失敗するということですね。 もし、すでに組織における従業員エンゲージメントが高いのであればEmployee Advocacyの準備はできていそうです。

それから2つ目は、自社発信活動(Advocate)が強制でないことがちゃんと伝わっているか?ということでしょう。 あくまで自発的な活動(ファンによる支持)という位置づけである以上、これは人に強制するものではありません。

 

さて、Employee Advocacyがどんな概念かざっと把握しました。

ここからは、僕が周りにどう自発的自社発信を伝播していったかを振り返ってみます。

たったひとりから始める自発的自社発信、Employee Advocacyの伝播

2018年入社期: 発信者ほぼ0

会社に入社するか決めるとき、せめて社員がなにか発信していないかと探すのですが、正直ほとんどありませんでした(人事的立場として会社ブログを書いている人を除きます)。

しかし全く無いわけではなく、入社インタビューのようなものを発掘。

www.wantedly.com

www.wantedly.com

ただこのとき、社員が20名程度しかいなかったはずで記事を書くほどのリソースがなかったことは容易に想像できます。

また、他にもWantedlyフィードはありましたが、PV数は伸び悩んでいたようですし、なにより文章から仕事っぽさを感じます(それが悪いわけではなく、Employee Advocacyの概念から外れる印象ということ)。

社員目線で書くこと+業務だと思わないこと

さて、Employee Advocacyは社員がファンとなり支持するという位置づけになっていましたね。

入社当初、僕は勝手にWantedlyフィードに記事を書きまくりました。

ほとんどの場合、入社してみて「面白い光景だなこれ」「なにこの状況」「この職業めちゃくちゃ面白そうじゃんもっと広まれよ」とか思っていたことを言語化したに過ぎません。

  • 6月

www.wantedly.com www.wantedly.com

  • 7月

www.wantedly.com

www.wantedly.com

  • 8月

www.wantedly.com

僕は元々文章を書くのが好きだったことや、新卒時代には自社ブログを運営していた事がありました。 それもあって、「いいと思ったことはちゃんと外に出せ。新鮮なうちに」という感覚を元々持っていました。

なので、まずは自分ひとりでもいいから書きまくることです。誰も一緒に書いてくれない〜とかは頭にはありません(もしそう思った人はどこか強制じみたものがあるはずで、向いていない可能性があります)。

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ひとりで書きまくる図

とにかく自分なりに書いて自分なりにシェアです。これは個人のブログやTwitter、インスタと同じ扱いです。

もしここで、会社側から検閲が入る場合それはもう自分の記事ではなくなりEmployee Advocacyの活動から外れてしまうでしょう。

2019年序盤〜中盤: 徐々に増えるライター

自発的に自社発信をしてくれる仲間が増え始めた時期です。

ただ、完全なる自発的現象ではありません。

「書いてみない?あなたの体験はきっと誰かの参考になるし、今後あなたのアウトプットとしても有用になると確信してる」と誘ったと思います。

無論誘って、断られたら深追いはしません。やりたくないことをやらせる文化は、弊社にはありません。

しかしさすが弊社、まずはインターン生がこの口説き文句に乗っかってくれました。

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インターン生が仲間を求めて自ら発信を始めていった図

このインターン生による連載は、実際に外部のインターン希望に刺さり採用にコミットしているところを目の当たりにしました。

www.wantedly.com

www.wantedly.com

www.wantedly.com

Wantedlyというプラットフォームの上で書いているものの、これは彼の作品であり彼のアウトプットです。誘った僕も検閲はしていません*1

 

そして彼のアウトプットが、同じインターン生にも火をつけ始めます。俺も私もと、この頃盛んにブログが書かれ始めました。

www.wantedly.com

そうこうしていると、社員も触発され始め、ライターが増えてきました。

www.wantedly.com

www.wantedly.com

www.wantedly.com

2019年: 社員のSNSアカウント

僕はSNSによる活動を入社前からしていました。Twitterでなにか情報共有するのは当たり前だったし、外部の人同士が繋がっているのも当たり前の世界観になっていました。

この頃はまだ、自社のメンバーとSNS上でやりとりすることはほぼなく(あってもFacebookから申請が来るとか)、リアルタイムでやり取りした覚えはありません。

ところが最近はちょっと検索しただけでも増えました。

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mazrica list

プラスα、Twitterで知り合ったエンジニアをリファラルしたりしたことで、よりSNS上で社員同士が絡んでいるのを見るようになりました。
ほとんど自分の話がつぶやかれないRTスパムアカウントではなく、正しく個人アカウントとして存在しているのが健全だと思います。

このアカウントで、よく自社のいいところをつぶやく人もいます。これはもう疑う余地なしのEmployee Advocacyでしょう。

2019年終盤: Advent Calendarに始まる個人ブログ開設ラッシュ

12月といえばAdvent Calendarです。僕も毎年別の話題で書いていたことや、アウトプットする人が増えたことを受け、今年はじめて社内に提案しました。

ただこの提案段階では「誰かひとりでも書きたい人がいればラッキー。いなければ25日全部書いてやる」と思って提案してました。

面白いことに、それくらいの覚悟で提案するとたいていみんな「私も書きますよ」って言ってくれる気がします。気のせいかも知れないですけども。

adventar.org

作成当初、全部は埋まらなかったものの誰か他に書きませんか?と誘うシーンも見られました。おじさんは嬉しいです。

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全日公開に成功したAdvent Calendar

Advent Calendarを通じて、ここに登録してくれたメンバーは全員 Employee Advocacyになったのだと思います。

www.wantedly.com

アウトプットというのは習慣と癖で一気に加速するものだと思います。
特に、エモが限界を超えたとき人は発信に至るわけです。

note開設により、アウトプットを続ける人が見受けられます。

note.com

2020年: 自社に関する技術書の爆誕

技術書典8に、マツリカの名義で参加が決定しています。

基本的に、自社に関する技術ならなんでもありのごった煮本にする予定です。

書きたいひとー!アウトプットの機会ほしいひとー!と募集して、エンジニア以外のメンバーも参加してくれる予定です。

ポイントは、ハードルを下げることです。1行のコラムからでもいいから、書いてみませんか?と誘ってきました。

きっと、いい本ができるでしょう。ご期待ください。

Employee Advocacyの伝播に必要だったこと

これまで無自覚だったことが悔やまれるほど、実は振り返ると色々ありました。

とはいえ意識して巻き込むことはしていたので、このあたりを話して終わりにしたいと思います。

  • 自分で始める
  • 楽しい活動であることを伝える
  • この活動が自分によいリターンがあることを知ってもらう
  • 参加ハードルをとにかく下げる
  • お礼にシェアする、感想を伝える
  • 絶対に強要はしない
  • Advent Calendarのようなイベントごとは、何度か貼って認知度を上げておく

なお冒頭で紹介したページにも、上記と似たようなことが書いてありました。

How to Improve Employee Advocacy (詳細略)
Here are some tips on how to improve employee advocacy in your company:

・Make it easy
・Send reminders
・Show appreciation
・Don’t force it

従業員による自発的な発信はひとりでもできますが、多くの人がやったほうが数は当然圧倒的に増えます。

また、より多角的に文化を伝えることができるため、あらゆるポジションの人の意見を見ることができます。

ぜひみなさんも周りを巻き込んでみては?

余談: 実績

*1:やばい表現があったら後で指摘する責任は持っています